目が色を認識できるのは何色くらい?動物と人間の視界の違い
2018.4.23

「目で見て色を認識する」当たり前のことですが、そのメカニズムを考えたことはありますか?
もしかすると、あなたが見ている世界と他の誰かが見る世界は、全く違う色かもしれません。
目が色を認識する仕組みと、実在する不思議な知覚能力の話など「見える」とはどういうことか改めて考えてみましょう。
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この記事の目次
目が色を認識するメカニズム。視覚と視細胞とは
光は赤、緑、青の「光の三原色」に分解することができます。色を感じる視細胞は、それぞれの色に敏感なタイプに分かれています。
この視細胞のいずれかに問題が生じると色覚に異常が生じることになります。
色覚異常の一例
◆2色覚(色盲)
3つの色覚細胞のどれか一つが欠けている場合を「2色覚」と呼びます。
【1型2色覚】…赤を感じ取る視細胞がない
【2型2色覚】…緑を感じ取る視細胞がない
【3型2色覚】…青を感じ取る視細胞がない
◆異常3色覚(色弱)
視細胞は3種類あるものの、そのうちのどれかの働きが低下しているケースは「異常3色覚」と定義されます。
これ以外にも、1種類の視細胞しかない1色覚は「全色盲」と呼ばれます。これは、視覚異常のなかでも非常にまれなものです。
鳥やカエルの目は人間より多く色を認識している
人間の目が光を赤・青・緑の三原色で感知するのは、網膜にあり、センサーの働きをする「錐体」が3種類あるためです。
鳥の場合は、この錐体が4種類あるため人間よりも多くの色を識別できます。鳥の色覚は、人間の物よりも優れているということになります。
実は、カエルやトカゲも4種類の錐体を持っています。最近の研究で明らかになってきたところでは、脊椎動物は本来4原色を知覚しているようなのです。
人間をはじめとする哺乳類は、進化する中で色覚を2原色まで後退させました。夜行性の活動では、色を知ることよりも獲物の動きを知ることが必要です。
色覚はさほど重要ではなく、優れた動体視力を得るに至ります。その後、霊長類が進化すると再び3原色を感知するまでになり、現在の人間にまで至るのです。
もしかすると人間も、いつか4原色を感知するのが当たり前に進化していくことがあるかもしれませんね。
猫の目は色よりも動きの認識を重要視する
人間は3種類の錐体で色を感知しますが、猫の錐体は2種類で青と緑を感知することができます。
錐体が少ないからといって、見えていないわけではありません。「色」としての認識は違っても、それ自体は見えています。
猫は夜行性だと思われがちですが、実は薄明薄暮性といって完全な闇の中よりも、薄明るい・薄暗い中での行動が基本です。
弱い光の中で獲物を判別して捕らえるために、色を見分ける能力よりも動き回る物を追ったり、見分けたりする「動体視力」が発達しました。
実は、動物が色を見分けるには、目の構造だけでなく目から入った情報を脳がどのように処理するかが大きいのです。目から入った情報の中から、より重要度の高い部分を抜き出して処理することで、素早く次の行動を起こす命令を発することができます。
猫が獲物の動きに反応して狩りを行うには、不要な色の情報を捨てて動きに転ずるための脳の働きも重要だったのです。
目が色を認識する錐体の数で世界は違って見える?
3つの錐体によって色を感じ取る人間が、通常見分けることができる色の数は約100万色だと言われています。
一つの錐体が識別できるのは100色ほどで、3つの錐体が組み合わさって働くことで100万色ほどを識別できるのです。
しかし、ごくまれに4つの錐体を持つ人間も存在します。この場合、近くできる色の数は1億色にのぼり「スーパービジョン」と言われます。潜在的に女性の12%ほどが、このスーパービジョンを持つ考えられていますが、本人に自覚が無いケースも多いと思われます。
人間以外の多くの哺乳動物は、2色覚で1万色ほどを知覚します。逆に、鳥や昆虫の一部は4色覚で、人間が見ることのできない紫外線を知覚することができます。
4色覚で見える世界では、3色覚では区別のつかない似通った色を見分けたり、3色覚では近くすることができない色も識別することができるのです。
同じ世界を見ていても、2色覚・3色覚・4色覚で見る場合に、それぞれ違った世界が見えているようです。
目で見た物に「味」? 色に「匂い」?共感覚の不思議
文字や数字を見ると、それぞれに「色」が見える。音を聴くと、「色」や「形」が見える。「色」や「形」だけでなく「味」や「匂い」として感じる。
そんな不思議な感覚を持つ人がいます。一般的には理解しがたいことですが、これらは「共感覚」と呼ばれます
芸術家の中には、この感覚を持つ人が多いと言われています。また、赤ちゃんのうちは大半が共感覚を持っていると言われているのです。
生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、未発達な状態で視覚・聴覚・嗅覚…などの情報をきちんと処理しきれないことがあります。それぞれの神経に分かれきっていないため、それぞれの刺激に神経を共有するのです。
通常は、成長にともなって神経の分化も進み、共感覚は薄らいでいき、いずれなくなってしまいます。
しかし、成長後にもこの能力が残った場合に、普通は感じることのない場面で、色や形を感じたり、味や匂いを感じるという感覚を残す場合は「共感覚」を持つ人となるのです。
- 雑学